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初等教育巻頭言

新潟県小学校長会 会長 伊藤充 教育課程を創るということ
新潟県小学校長会
会長 伊藤充

「新潟三大ラーメン」というものがあると聞く。
①新潟醤油ラーメン…早朝の本町市場で働く人や、深夜まで働くサラリーマンが好む淡白なラーメンが発達した。「Ku」が有名。
②長岡生姜醤油ラーメン…豪雪の地で身体を温める効果がある生姜をふんだんに使ったラーメンが発達した。「A」が有名。
③燕三条背脂ラーメン…昼夜間わずフル操業の工場への出前でも冷めにくく伸びにくい背脂をのせた極太麺が発達した。「Ko」が有名。
もちろん、上越の「M」も巻の「Ko」もおいしいラーメンである。

 新潟県は縦に長い。それぞれの地域の気候は若干違い、産業構造も異なる。入々の生活も気質もさまざまである。それらに対応するように、ラーメンとしての本質を決して崩さず、個性的に形を変えたレシピが創られた。それは、まさに「その地域の人々にとって最もよい大衆食」を模索した結果である。
 「それに比べて」と私は思うのである。来年度の学習指導要領本格実施に備えて、すべての小学校で教育課程が創られる。しかし、全国的に見ると、これまでの学習指導要領改訂の際に創られた教育課程の多くは、「学校名を変えさえすれば、どこでも使えそうな怪しい教育課程」であったような気がしてならない。もしそうであれば、実際は「地域や学校の実態を反映しない」「使えない」教育課
程ではなかったのかと恐れるのである。
たとえば、新潟県の教育課題は学力の向上である。しかし、「学力向上のための教育課程を創る」程度の認識で、学力を上げる教育課程などは創れない。すべきことは、①教科・領域ごとの学力課題を明確にすること、②課題を克服するための時間配分、指導方法、教材、指導体制等を検討すること、③検討結果を教育課程の形にして明示することである。
 たとえば、ある学校の算数の課題が「生活経験に照らして問題を考える力の向上」だったとする。
これを解決するためには、その学校の教育課程に、児童の生活経験と数字・数式とを関連付けた授業時間が多く設定されるべきである。たとえば、算数に関連した体験を行う活動を取り入れるべきである。その際の指導体制として、学習ボランティアの活用を計画するのもよい。その上で、生活経験を踏まえた解き方を児童に記述させる指導過程が組まれるべきである。
このような計画の総体が「その学校の教育課程」である。したがって、学校の数だけ、別々の教育課程ができあがることになる。
 外から問われたとき、それらをていねいに説明できればよいのである。教育課程を創るとは、そういうことである。

 身体を温める効果がある長岡生姜醤油ラーメンのスープは、温暖化する気候に比例するように生姜の量が減っていったという。気候、地域の人々の生活、職入の知恵、まさに天・地・人が新潟ラーメンを育ててきたといってよい。
 教育課程も新潟ラーメンのようでありたいと結ぶのは、穿ち過ぎであろうか。

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