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初等教育巻頭言

新潟県小学校長会長 加藤誠雄 キャリア教育の視点を
新潟県小学校長会
会長 加藤 誠雄

 先の見通しのもちにくい時代と言われている。こうした時代においては、獲得している知識量の多寡だけで学力を論じられないという認識は、社会全体に広がりつつある。これは、世界共通の認識であり、OECDでも、「リテラシー」「キー・コンピテンシー」という「新しい能力」観が打ち出されている。そして、こうした時代の要請に基づいた「資質・能力」の育成を基軸とした教育課程の在り方が、各国で模索されている。これを別の視点から見ると、今、学校教育の役割の問い直しが起こっているということであり、これまで「文化遺産の伝達」という側面が重視されてきたことに対し、「学校教育は、子どもたちが社会の担い手となる上で必要な力を獲得させるためにある。」という方向に転換を図っているということにもなろう。そうした動きの中で、改めてクローズアップされてくるのは、「キャリア教育」の視点ではないだろうか。
 明治大学教授諸富祥彦氏は、小・中・高等学校を通じて一貫して育てていきたいキャリア教育の内容を次の「七つの力」にまとめて提案している。

  1. 「出会いに生き方を学ぶ力」。様々な人との出会いの中に「生き方のモデル」を見出し、生き方の指針や価値観を学んでいく力
  2. 「夢見る力」。たとえば「10 年後の私」を思い浮かべることを通して、自分の将来について「ああなりたい」「こうしてみたい」と思い浮かべる力
  3. 「自分を見つめ、選択する力」。自分は本当は何をしたいのか、どんな人生を生きていきたいのか、自己選択することができる力
  4. 「コミュニケーション力」。心が通い合う人間関係を作ることができる力
  5. 「達成する力」小さな目標であっても、決めた目標を達成することにより、自分は責任をもって仕事をこなせる人間なんだと感じることのできる力
  6. 「七転び八起きの力」。多少の失敗や挫折に負けず、再チャレンジする勇気
  7. 「社会貢献を喜べる力」。仕事を通して、自分が社会や人の役に立つことができていることに 喜びや生きがいを感じることのできる力

 こうした力は、学校教育全体を通して育成すべきものであり、それだけに、教育活動を構想し、実践する指導者が、「子どもたちに身に付けさせたい資質・能力」として常に意識していなければならないものであろう。
 自戒を込めて言うのであるが、小学校の教師はつい、目の前の子どもを「小学生として優秀な子」に育てようとしがちであった。中学校も同様の傾向があったのではないだろうか。もちろん、学校はビジネススクールではないので、職業教育を行うわけではない。そうではない「キャリア教育の視点」とは、相手が小学生であれ中学生であれ、「その子が20歳になったとき、50歳になったとき」のことを見据えて、今、この段階でどのような能力を育てておく必要があるかということを真剣に考えるということであろう。
 「とても立派な6年生に成長した。」ことを良しとして卒業生を送り出すのではなく、「この子たちになら、先行き不透明な21世紀を任せられる。」と自信をもって送り出せる教育を心がけたいものである。

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